今は世界にふたりきり



蠢く春が腰を下ろした

楽器がリンリン町で鳴る

鋭角で澄んだ気に沿って

耳と踊る、踊る



電線で聞いてる小鳥たち

何だか体が音符みたい

























宵闇の絨毯は畳まれ、私の膝に寄りかかる

膝を伸ばして、はだかる朝

私に靴を磨かせる

カーテンが笑ってる

























手帳の白は埋め尽くされ

心のペンも芯を替えた

あの日描いた今が今なら

今と感じた途端

あの日描いたものは過去になった


























強靭な肉体が歌うなら

肌の色が同じなら

嘘つくことが正義なら

比較の音が響くなら

インスタントに汚染されたら

叫びが星になるのなら

母が近くにいるのなら

心がもはや打楽器なら

婚姻の形が違うのなら

対価が他のものなら

あの人がまだ生きてたら


私は何を描くだろう























あなたと夢を結びたい

この体は縄

ひとつひとつの細胞を編み込んだ

とぐろを巻いた強靭な縄になって

あなたが夢とひとつになればいい


そして日常に輝く光になって

あなたの明日の彩りになれば、

それは奇跡、きっと当たり前の


ゆっくり体を傾けて

夢とひとつになる手前

今は世界にふたりきり


寝室にある夢の入り口


2015/05/02
tashi




絵は嘘をつかない